いよいよ最終ラウンド。泣いても笑ってもあと18ホールで終わりである。アグレッシブに自分のプレーをすることに専念しよう。決して神頼みはするまい。自分の力を信じよう。
 やはりスタートが肝心。昨日と同じ5番ホールのスタートである。今日は安全に行かずに積極的に攻めることにしよう。パーティーは同スコアの坂井君、バンバ・リコ、そしてなんとイノーバ社長そしてイノーバ全てのディスクの設計者=デイブ・ダナペイス 。素晴らしいメンバーである。
 いよいよスタート。右手前10mに止まる。距離的には結構良いところに止まったが、ゴールは山の頂点、しかもかなりの向かい風となっている。これは悩みどころである。ゴールに当たらなければ、おそらく10mは下って行き過ぎ、ボギーは必死である。どうしよう、、安全に行こうか、、これはアグレッシブと冒険の境目ぐらいの状況である、、、
 通常の試合、ラウンドの状況ならば絶対に安全に行くところだが、このショットは今日の全てを決めるパットになるかもしれない、、、もし、昨日のように安全に行ったら、その後リズムをつかむことが出来ないような気がしてきた。18ホールしかないのである。
 勝負すると決意した!向かい風が強いのでライナーで風とつり合わせるしかない。そうと決めたら強めで行こう!
 勝負!ところが強すぎて風でディスクが浮き、ゴールの上へ飛んで行ってしまった。 しまった、と思った瞬間ディスクがゴールの上のフラッグの細い柱に当たり真下に落下して止まった。ラッキーである。でも、これは積極性が生んだラッキーだと思う。真正面に飛んだのは精度が良かったからと思うことにしよう。良いスタートである。守りにいったパーよりはるかに良い積極的なパーである。これでリズムに乗れる事と信じよう。
 苦手の16番でまたも林に突っ込むもアプローチを寄せて何とかボギーで切り抜ける。その後は冒険を慎みつつパーをキープ。ねらい目の19番、22番でバーディーが来て1アンダー。今日は18ホールだが非常に長く感じられる。疲労もたまり集中が切れそうになるも、「俺はUSDGCに絶対に行く!」と心に言い聞かせて奮起する。残りのアウトをパーで切り抜けてクラブハウスに帰ってくる。残りは4ホール。最も苦手とする難ホールばかりの1~4番である。厳しい、、何とか切り抜けたい、、、初めて残りのホールのスコアを意識してしまった。
 1番、ティーショットミスして右端へ。距離も全く出ていない、、なんと2ndショットもドライバーである。しょうがない。バーディーは必要ないがボギーにならないようバンカーを避けるように投げる。ところがこれがゴール奥4mへピタリと寄る。ラッキーである。残り3ホール。
 2番パーの後、苦手な3番。正面の木立の左の切れ目へ真っ直ぐビーストを投げる。からくも抜けるが、かなり長い登りの難しいアプローチが残る。ロックの距離だが、好きなガゼルでの力を抜いたショットに切り替える。結果奥5mへ寄る。またもラッキーバーディーが来る。
 いよいよ最終ホール。非常に難しい4番である。何とかパーで切り抜けたい。悪くてもボギーとしたい。ティーショットは飛ばなかったが左前方の安定したボールゴルフ用レディースティーへ止まる。投げやすい!良かった。アプローチはもちろんゴールを狙わずに左フェアウェイセンターに落とし、そこから寄せてパー(4)で上がりたい。ただし、距離はかなりある(120m以上)ので、ドライバーショットである。ここまで活躍してくれたビーストに回転をつけて投げる。
 ところが思ったより向かい風が強く右のOB(道路)方向へ進んで行く。木に当たってくれと思ったが抜けていく、、、危ないと思った瞬間、OB境界線の上で「S」を書いて戻って来た!なんと、ゴールへの坂の途中まで登って止まった。奇跡である。残り10m。寄せれば楽にパーで上がれる。ビースト「S」の威力である。
 スタートホールと同じ状況になった。残り10m。もっときつい投げ上げ。狙って外れたら、奥へ10mは行き過ぎるであろう。もちろん、根元に寄せれば楽勝のパーである。これも、アグレッシブと冒険の境目である。 しかし、思い出した。過去に何度も同じような経験がある。最終ホールの最終パットで見えない相手と競っている時に、安全に行って勝ったことはほとんど無い。守りに行くとほとんどの場合負ける結果となるのである。そしてアグレッシブに行った場合たとえ失敗しても良い結果となることが多いのである。もし、このパットを置きに行ってパーを取り、1打差でUSDGCを逃したら、どんな思いをするだろう。おそらく一生後悔するであろう。アグレッシブに行ってミスをして1打差で負ける方が良い。それなら後悔することは無い。
 迷いは無くなった。「俺はUSDGCへ行く!」と自分に言い聞かせ、ライナーで投げる!
 ど真ん中から入った! 信じられない、、「3」で上がった。全てが終わった。気が抜ける。もう今年のJOでのプレーは終わりである。
 スコアを計算する。結果は4アンダーであった。信じられない。おそらく自分のDG人生で最高のラウンドだったと思う。実際にはラウンド中はスコアを勘定していなかったので、良くわかっていなかった。ただ、一つ一つのプレーに集中していただけである。
 少し期待をしつつもあきらめていた。それよりも自分のベストのラウンドをすることができた満足感にいつまでも浸っていたかった。がっかりしたくなかった。
 結果は私より先にスコアを見た坂井君が教えてくれた。「2人抜いて日本人2位だよ!」 その瞬間恥ずかしながら涙が溢れて来た。信じられなかった。何年か時間をかけても達成する可能性の低い夢の目標だった。まさかそれが実現するとは、、、長いディスク人生において自分のことで涙を流したのは生まれて始めてのことだった。神様に感謝しよう。そして私の事を励まし、応援してくれた多くの人達に心から感謝しよう。そしてディスクの世界に必ずお返しをしよう!そう思った。(分析編に続く)